脳卒中になっても笑顔でいきいきと!理学療法士が教える予防とリハビリの基礎知識
脳卒中は、日本人の死亡原因の第4位、寝たきりになってしまう原因の第2位という、身近で深刻な病気です。脳の血管が詰まったり(脳梗塞)、破れたり(脳出血・くも膜下出血)することで、様々な心身機能の障がいが出現します。
しかし、適切なリハビリテーションと日常生活の工夫、そして予防によって、脳卒中になっても笑顔でいきいきとした生活を送ることは可能です。本記事では、理学療法士が作成したハンドブックを基に、脳卒中の正しい知識と対策を解説します。
1. 命を守る!脳卒中の「早期発見サイン」
脳卒中の治療は時間との戦いです。以下の症状が突然現れたら、ためらわずに119番(救急車)を呼んでください。
- 顔の麻痺: 片方の手足や、顔の半分がマヒ・しびれる。
- 言葉の障がい: ロレツが回らない、言葉が出ない、他人の言うことが理解できない。
- 視野の障がい: 片方の目が見えない、物が二つに見える、視野の半分が欠ける。
- バランスの障がい: 力はあるのに、立てない、歩けない、フラフラする。
- 激しい頭痛: 経験したことのない激しい頭痛がする。
2. 早期リハビリテーションの重要性
脳卒中を発症した後は、医師による投薬治療とともに、できるだけ早期から理学療法士などによるリハビリテーションを行うことが、機能回復の鍵となります。
リハビリテーションの流れ
- 急性期: 救命と身体への影響を考慮し、発症後早期から積極的に理学療法を開始します。
- 回復期: 持っている力を最大限に引き出し、日常生活動作(ADL)の能力向上と社会復帰を目指します。
- 生活期(維持期): 自宅や施設で、その人らしい生活を実現するための能力維持・向上と、再発予防に努めます。
3. 自宅でできる日常生活の工夫
退院後も、ご自宅の環境整備や動作の工夫で、自立した生活を守ることができます。
転ばないための環境作り
家の中には多くの危険が潜んでいます。整理整頓をし、必要に応じて環境整備を行いましょう。
- 床に直接本や新聞、電気コードを置かない(つまずき防止)。
- 足ふきマットや浴室の床など、滑りやすい場所の対策をする。
- 階段や玄関に掴まれる場所(手すりなど)を設ける。
生活動作の練習
練習すれば、手足が不自由でも片手で着替えや入浴、料理などができるようになります。
4. 脳卒中の予防と再発予防
脳卒中の再発率は高く、5年で3人に1人、10年で2人に1人以上といわれています。再発を防ぎ、血管の動脈硬化を進行させないために、日頃の生活習慣管理が何より重要です。
- 血圧管理: 特に脳出血の最大の原因は高血圧です。血圧は140/90mmHg以下を目安に管理しましょう。
- 生活習慣の見直し: 肥満の改善、禁煙、減塩(食生活)を心がけましょう。
- 継続的な運動: 体力に合った運動を続けることが、糖尿病などの危険因子を管理するのに効果的です。
自宅でできる簡単な予防体操
- 腕のばし運動: 手のひらを合わせて天井へ突き上げる。
- ブリッジ運動: ひざを立てた姿勢からお尻を持ち上げる。
- ひざのばし運動: ひざがまっすぐになるまで伸ばす。
- ふとももあげ運動: ひざを胸に近づけるように持ち上げる。
- かかとあげ運動: 壁を支えながらかかとをあげて、つま先で立つ。
注意点:脳卒中になった後の運動は、必ず身近な理学療法士にご相談ください。
参照:公益社団法人 日本理学療法士協会「理学療法ハンドブック シリーズ2 脳卒中」